『日本自然保護大賞2020』入選のご報告

 やんばるDONぐり~ずの活動とやんばるの森林伐採の問題を少しでも多くの方々に知っていただきたいという想いから、昨年10月に、日本自然保護協会の『日本自然保護大賞2020』の保護実践部門に応募をしていました。

 この度、結果の通知があり、やんばるDONぐり~ずは、残念ながら授賞こそ逃しましたが、今後の活動を期待するとして、『入選』に選出されることができました。

 111件の申込みに対し、授賞6件、入選は18件でした。入選できて嬉しいです。今後の活動の励みになります。

応募した内容を以下のとおり紹介します。

●応募活動の詳細・アピールポイント (1000字程度)

 国立公園に指定され、世界自然遺産登録候補地となっているやんばる(沖縄県本島北部)の森では、毎年、国立公園区域内も含め、国頭村内の森林で約10ヘクタールの規模で伐採が行われている。伐採は、皆伐の方法で行われており、生物多様性が失われている。「林業」と称した伐採は採算性が取れていないが、その後に行われる植林に国から多額の補助金が注ぎ込まれる構造となっている。

やんばるでの公共事業等の自然破壊を止めるために提起された命の森やんばる訴訟(第1次:1996年~2004年、第2次:2007年~2015年)の原告や弁護士を中心に2012年4月に設立したのが当団体である。森林伐採の中止を求めて活動する自然保護団体は、沖縄県内では当団体のみである。

当団体は、行政に公文書公開請求を行って森林伐採等の資料を入手し、伐採地の現地視察を継続的に行ってきた。毎年度、当団体が主体となって他の自然保護団体・個人と連携を取って抗議声明を発表し、関係機関に送付している。記者会見も行ってきた。

当団体は、これまでにシンポジウム、写真展、現地視察ツアーを開催してきた。2014年10月には日本森林生態系保護ネットワークと共同で、パンフレット「生物多様性保全の視点から考える やんばるの今と未来」を発行した。沖縄県議会へ陳情を提出するなど、県民世論を動かす働きかけも行ってきた。シンポジウムや伐採地の様子は度々新聞でも取り上げられている。なお、当団体の活動内容、発表した文書、動画や写真はホームページ、Facebook、YouTubeで発信している。

2017年には、国頭村内での森林伐採に沖縄県が補助金を交付したことに対し住民監査請求を行い、第3次命の森やんばる訴訟を那覇地方裁判所に提起した。訴訟は現在も継続中である。訴訟で対象となっている伐採地について、伐採前は豊かな森林であったことを明らかにするために、専門家や市民の力も借りて、伐採された樹木を1本ずつ測定・樹種を特定する調査を行った。2018年から伐採地に隣接する森林に自動撮影カメラを設置し、ヤンバルクイナが交尾する様子を捉えることができた。

 また、やんばる本来の豊かな森を長期的に調査するため設置した自動撮影カメラで、ヤンバルクイナの雛、ノグチゲラやケナガネズミの貴重な映像を撮影することに成功している。

 世界自然遺産登録を自然保護の契機とするため、国際自然保護連合(IUCN)に森林伐採の問題を認識してもらうために、2017年3月に「意見書~やんばる地域の世界遺産登録について~」を、2019年10月には「抗議声明」を、それぞれ資料を添付して英文で提出した。

沖縄県や国頭村は、持続可能性のない森林伐採を止めて、やんばるの森林の保護、自然を生かした地域づくりに方針を転換すべきである。そのためにも、私たちはこれからも県内外の市民の方々や自然保護団体と意見交換し、協力し合い、模索しながらやんばるの保全活動をすすめていきたいと考えている。

やんばるDONぐり〜ず

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