沖縄タイムス論壇『やんばる丸ごと「遺産」森林地域 生物多様性の宝庫』

 やんばるDONぐり~ずの顧問の平良克之さんの投稿が、沖縄タイムス論壇に掲載されましたので、紹介します。

2018年6月18日 沖縄タイムス 論壇 平良克之

『やんばる丸ごと「遺産」森林地域 生物多様性の宝庫』

 やんばる世界自然遺産取り下げに関して3日付社説「宿題に向き合う時間に」の中で、「ゾーニングを巡っては『飛び地』が複数あるなど狭い推薦地が点在する問題も指摘されている」「やんばるを一つの大きな森としてまとまりをもった世界遺産地域とするためには、ゾーニングの見直しが求められる」と、ゾーニングの再考を指摘し、先立って5月10日の「大弦小弦」でも言及しています。

 そもそも当初の国立公園化案から県内外の自然保護団体は、特別保護地域は範囲が狭く分断され、拡大すべきであると、指摘し要請してきました。しかし、ゾーニング問題などへの世論がいまひとつで、メディアの報道も少なかったように思えます。推薦取り下げが問題化して、多角的に取り上げ、本質的な話題になってきた感があります。これまでは、地元の生活と世界遺産の在り方に集中してきたように思えます。単純に生活の論点ではなく、現実に誰のための、どのようななりわいの実態があるのか、よく分からないことがあるようです。世界遺産ともなると世界共有の宝、財産とつながっていくのです。

 今も森林を丸裸にする皆伐が国立公園内でも行われています。この現状を私たちはIUCN(国際自然保護連合)にリポートしており、登録延期の勧告は北部訓練場返還地だけではなく、民有地も同様に認識された結果だと思います。今回の登録延期勧告の障害になったのは、やんばるの状況にあります。やんばるの森林地域はあまりに狭く、沖縄島北部の小さな世界に存在しているという認識が必要で、自然に関心を持ち、保全していくのは県民としての生き方んも関わっていくものです。この小さな世界に身を置くと、生き物たちの命に関わることに遭遇し、心の痛みを覚えることが多いものです。世界遺産登録には、この地域が生物多様性の宝庫であり、これをどう啓蒙し、どう育て、どう未来に引き継ぐか、哲学が問われています。

 今、ひっそりとやんばる保全の裁判が進行しています。世界遺産候補地やんばるが係争地になっているのです。私たちの調査では集落近くの森や沢、荒れ地と思われるような森にも希少種が確認されており、やんばるは丸ごと世界遺産、天然ミュージアムと言っても過言ではありません。

(那覇市、第3次・命の森やんばる訴訟原告団長、66歳)


また、平良さんへの取材を元に書いたと思われる5月10日付の大弦小弦のリンクを下に貼り付けます。

沖縄タイムス 2018年5月10日 大弦小弦

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/249617


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