判決期日のお知らせ 第3次命の森やんばる訴訟
2017年12月に那覇地方裁判所に提訴した「第3次命の森やんばる訴訟」(違法公金支出金返還等請求事件)が、去る2021年6月15日の口頭弁論期日で結審しました。
判決期日は、2021年10月12日(火)午後1時10分です。
国頭村では、毎年、大規模な森林伐採が行われ、伐採後に植林をするという事業が行われています。2016年にも国頭村宇良で、生物多様性豊かなやんばる本来の森林が大規模に伐採されてしまいました。日本一大きなどんぐりの実をつけるオキナワウラジロガシの大木や、ノグチゲラの営巣が可能なイタジイの大木も伐採されました。沖縄振興の名目で国が負担する一括交付金という制度を使って、伐採後の植林の「機能回復事業」に補助金が支出されていました。
これに対して、沖縄県民の有志が、沖縄県に対して補助金の支払い中止と返還を求めて提訴したのが「第3次命の森やんばる訴訟」です。
この裁判の対象となっている伐採地は、やんばる国立公園区域外ではあるものの、もともとは樹齢50年以上もの木々が生い茂る自然豊かな森林でした。その森を「耕作放棄地」と決めつけ、きちんとした調査をすることなく伐採して、伐採後の造林(植林)に「機能回復事業」という名目で国からの補助金が支出されていました。「機能回復事業」というのは、本来、耕作放棄地で荒れ果てた場所や材木の生長が不良な土地を森林に作り替えるための事業です。荒れ果てた土地ならまだしも、やんばる本来の自然が残っている森林は、それ自体で「森林の多面的機能」、たとえば生物多様性保全や水源かん養といった機能を持っています。そのような森林を伐採して造林をすることは、「機能回復事業」の要件には合致しておらず、補助金を支出することは違法になると私たちは主張してきました。地方自治法では県が交付金を出す時には、その事業に“公益性がなければならない”と定められています。やんばるの自然を壊すような事業に公益性はありません。
本年7月、やんばるの森も奄美大島や西表島とともに「世界自然遺産」に登録されました。しかし、一方でやんばるの森では森林伐採が毎年行われています。このような自然破壊を許容している状況で、本当に「世界自然遺産」と呼べるのでしょうか。
この裁判は、そのような現状に対する一つの問題提起となるはずです。
第3次命の森やんばる訴訟の対象になっている国頭村宇良の伐採地(2017年1月22日撮影)
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